「東京下町の風景とこけし⑩」スイーツパラダイス/佐藤英太郎津軽こけしとりんごの帽子/今晃

2018年01月29日

「東京下町の風景とこけし⑪」里見公園/松田徳太郎、小椋千代五郎

雲の隙間から幾筋の光が差し込める、雨上りの里見公園にて。
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優しい木漏れ日が降り注ぐ木立では、名も無き雑木とかつて雑系と呼ばれた異形のこけし達が密かな宴に興じている。近年では”独立系”と改称されたりもするが、昔日さながらの雑系という呼称を私は好む。そこには差別的な意味合いも系統における隔たりもなく、伝統の日陰に咲いた雑草はひたすら懸命でいて頑なに力強い。雑系こけしにはそんな心象あるいは共感めいた想いを抱いてしまう。

~鹿間時夫氏が夢に見たこけし~
写真左は、岩手県盛岡の木地業・松田徳太郎(1889~1964)の作とされる描彩が加えられたこけし6寸。徳太郎が作るこけしの基本型は無彩色で4寸ほどの長頭キナキナであった。『こけし辞典』では徳太郎の描彩こけしの作者は本人とは別人と推測されており「伝統的な必然性には欠如しているがこの種の南部系描彩こけしの中では秀逸である」と評価されている。徳太郎の描彩こけしは、昭和16年に仙台の桜井玩具店で、3寸、6寸、尺がそれぞれ(各一本づつ?)販売された。鹿間時夫氏がけつけた時既に遅し、店内には3寸が残るのみであった。この件は後に自著の『こけし鑑賞』において「今では6寸は夢となった」と語られた。
※この記事は、『こけし手帖』平成30年1月号(684号)「東京下町の風景とこけし」に加筆したものです。

jetlink_roki at 17:30│KOKESHI/こけし戦前 
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