2018年02月
2018年02月15日
「東京下町の風景とこけし⑫」自宅本棚/高橋忠臣、高橋美恵子
(左) 高橋美恵子がデビュー前に製作した習作こけし6寸、昭和57年作。父は高橋佳隆、兄は高橋通。父兄と同様に楷書体の筆法を特徴とする作者だが、その初期作は茫洋とした情味を感じさせる表情で味わいが深い。
(右) 高橋忠臣のこけし3寸は、戦前の昭和15年作。高橋忠蔵の実子。26歳で夭逝したため、こけし製作期間は僅か一年間。忠臣のこけしは数える程しか存在が確認されておらず、資料的観点からも貴重な一本である。
西の彼方(そこ)へ行けば
どんな夢も かなうというよ
インド関連の旅行本と福島県 飯坂温泉の鯖湖こけしを飾った自宅本棚にて。鯖湖こけしに描かれたロクロ模様は、中国から伝来したチャルメラと呼ばれる唐人笛の意匠が元になったとの説がある。文化や宗教は西方より伝播するという世の習いに従って大陸を遡れば、あの独得な蒔絵模様のルーツは仏教発祥の地インドへと辿り着くのでは?...こけしと旅の本が並んだ棚を眺めながら空想の羽を広げてみるのもまた一興である。
※この記事は、『こけし手帖』平成30年1月号(684号)「東京下町の風景とこけし」に加筆したものです。
当ブログの連載「東京下町の風景とこけし」全13話をまとめた、『こけし手帖』平成30年新年684号が届きました。
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